空から現れたのはサンタだった。
しかも、ソリに乗っているだけでなくトナカイもつれている。
俺は目を凝らした。
そして、俺の考えは確信へと移った。
あれは間違いない。
ラクス姉ちゃんだ。
となれば、キラ兄ちゃんがどこかに居るはずだ。
そう考えた僕はラクス姉ちゃんの辺りと自分の周辺を見渡した。
しかし、キラ兄ちゃんの姿は見えなかった。
徐々に近づいてくる不自然なラクス姉ちゃん。
こっちに来る。
と思いきや、森の方へと入って行った。

「なんだ?あれは・・・」



「とある日のプレゼント(後編)」



「皆さん、こんばんは。ラクスサンタです」

なんと森とは真逆の方向からラクス姉ちゃんは現れたのだ。
このイリュージョンには俺だけでなく、みんな驚いた。
いや、驚いて当然だろう。
驚かない方が無理だ。

「ねえ、ラクスお姉ちゃん、今のはどうやったの!?」

「そうだよ!さっき、ラクス姉ちゃんは・・・」

みんなはサンタ=ラクス姉ちゃんより、先程のイリュージョンの方が驚いているようだ。
実際、俺もそっちの方が気になっている。
あれはどうやったのかを。

「それは秘密ですわ。ですが、秘密にする代わりにわたくしからのプレゼントを受け取ってくれませんか?」

大人なら通じない交換条件。
しかし、相手は子供。
それを逆手に取ったのだろう。
全員そろって、プレゼントを受け取ることを選んだのだ。
一人ずつ配っていくラクス姉ちゃん。
俺にプレゼントが渡ったのは一番最後だった。

「ありがとう、ラクス姉ちゃん」

「いえ、ラクスサンタですわ」

あくまでそこにこだわっているラクス姉ちゃん。
無理にこだわらなくてもいいと思うんだけど・・・。

「では、みんな、さよならですわ!」

そう言うと、ラクス姉ちゃんは森へと入って行った。
入って見えなくなるとすぐに森からソリが出て、先程とは逆に空へと出て行った。
全くもってイリュージョンだ。
一体、どんな種が隠されているのだろう。
俺には全く想像がつかなかった。
丁度、ラクスサンタが消えた頃に、カリダさんが俺達の前に現れた。

「みんな、何してるの?キラもラクスさんもみんなを待っているのよ?」

「え!?でも、さっきラクス姉ちゃんは・・・」

「そうだよ!ラクスお姉ちゃんはさっきまで、サンタに・・・」

ここまで来ると話が分からなくなってきた。
大人達はどこまでやっているのだ?
というか、これは演技なのか?

「何を言っているの、みんな?さっさと家へ帰るわよ」

というわけで家へ帰った。
すると、そこには朝と同じ格好をしているラクス姉ちゃんとキラ兄ちゃんが居た。
さらには朝居なかったはずのバルトフェルドおじさんも一緒じゃないか。
一体この人達はどのようなイリュージョンを使ったのだろう?
俺はその疑問が頭から離れなかったが、やがて、薄れていった。
家へ戻ってすぐに夜のパーティが行われ、ケーキを食べたからだ。
さらにはみんなでワイワイ騒いで、ほとんどが俗に言う寝オチしたのだった。
朝起きた時にはしっかりベッドで寝ており、枕もとにプレゼントが置かれていたのだった。
結局、ラクスサンタの真実は誰も知らないでクリスマスは終わったのである。



END



後書き
これは後編です。
イリュージョンしすぎ!と思います。
私の頭は一体、何でこんな無茶苦茶なものを思いついたのでしょうかね。
と、まあ続きは特別編へどうぞ。
後編はこちら


タイトル