クリスマス。
それは恋人同士の間でも、子供の間でも大事な日。
このクリスマスは特に子供からすれば喜ぶ。
言わなくても分かるだろうが、サンタが来るからだ。
だけど、プレゼントを用意する人からすればクリスマスどころじゃない。
これではまるで、クルシミマスだ。
そして、今日はイブの夜。
僕達はケーキなどの準備をしていた。
子供達へのプレゼントはもう用意してある。
しかし、今年のクリスマスに予想外の事態が起きることなど僕もラクスも母さんも大人二人も想像すらしていなかった・・・。



「クリスマスに現れた伝説のおじさん」



「サンタは来るのかな?」

「サンタは煙突から来るって聞いたぜ!」

などと子供達は楽しく、話している。
そして、彼らはチキンを食べている。
一方の僕達はケーキの準備と同時に会議をしていた。
お題は誰がサンタをやるかだ。
さすがにラクスや母さん、マリューさんは無理がある。
女性のサンタというのは別に僕はいいんだけど。
結局、僕かバルトフェルドさんのどちらかがやることになった。

「う〜ん。ここは僕がやるべきかな?」

珍しく、バルトフェルドさんが身を引いた。
ま、声的に大丈夫なんだろう。
って話しているうちにケーキができたらしい。

「さぁ、出来ましたわよ」

ラクスが子供達に向かって話す。
中々の大きさのケーキだ。

当たり前かもしれないけど、手作りだからね。 今年は(というか初めてのような・・・)シンプルに苺と生クリーム。
僕達がケーキを持っていくときに、バルトフェルドさんはサンタの格好をしにいった。
準備もだんだんと整ってきた。
その時である。
何故か、後ろにバルトフェルドさんが現れたのだ。
サンタの格好ではなく、普通の格好で。

「先に始めててね」

僕は慌てて、廊下の方へと向かった。
そして、バルトフェルドさんに事情を聞く。

「何があったんですか?」

「実はな・・・プレゼントがなくなってるんだよ」

僕は思わず、「えええ!!!」と言うところだった。
しかし、口を押さえる。
次に僕は何故か、小声で聞いた。

「本当ですか?」

彼は頷いた。
どうやら本当らしい。
僕達が困り果てていると母さんとラクスがやってきた。
マリューさんは子供達の相手をしている。

「何かあったの?」

母さんの問いに僕は答えた。
ラクスにも事情を話し、どうするかを話し合った。
が、詳しく話し合いをするのは子供達が眠ってからという結論にいたった。
なぜなら、マリューさんだけ残して他の大人がここに居るのはおかしいからだ。
子供はこういうことに意外と鋭い。

「何かあったの?」

突然声がしたので、振り向く。
そこにはフィンスが居た。
8歳の女の子で、子供達の中ではアイドル的存在だ。
どうやら、フィンスが少し話を聞いてきたみたい。
するとラクスが答えた。

「何でもありませんわ、さぁケーキを食べましょう」

その後、僕達はケーキを食べた。
やはり、母さん達は料理が上手い。
よくよく、考えたらラクスもマリューさんも料理上手いし。

数時間後。
子供達を寝たのを確認した後、会議は始まった。

「どうするのよ?今からじゃあ、どこも開いてないわよ?」

母さんの話で始まった今回の会議。
そう、この時間ではおもちゃ屋などは開いていない。
開いているところもあるだろうが、街に行く頃には・・・。
どうしよう、どうしよう。
そんな空気が漂う中、玄関のチャイムが鳴り響く。
少なくとも、アスランやカガリ達ではないことは分かっている。
もしかして、不審者?
そのように全員が感じたのか、全員で玄関へと向かった。
するとそこに居たのは明らかに、大柄な男。
しかも、格好から言ってサンタだ。
袋も抱えている。

「ほほほう。子供達はどこに居るのかな?」

・・・
僕達は凍りついた。
明らかに、場違いだ。
それにサンタだったら夜中に来るもの。
やはり、不審者か?
全員が疑いの目をサンタに向ける。
その空気が読めたのか、サンタの格好をした人は話し始める。

「わしは、ボランティアのサンタじゃよ。オーブの政府から頼まれておってな。他のところにもサンタは回っているはずじゃよ」

この人、俗に言うKY?
僕もニュースをあまり見てなかったから、教えてもらったんだけど「空気読めない」っていう意味だって。
って、自分で言っといて突っ込むのもなんだけど、やはりおかしい。
いくらなんでも、政府がそんなことをするはずがない。
あのカガリがそんなことを。

「カガリさんに聞けば、一発で分かりますが、よろしいのですか?」

ラクスが怒っている?
というか、怒りのオーラが・・・。
観念したのか、そのサンタはここへ来た理由を言った。

「う・・・わしは、依頼されたんだ!オーブの守護者とやらからな!」

それだけ言うと、男は去った。
プレゼントは置いていかずにである。
その後の会議で、とりあえず子供達には25日の夜にプレゼントを渡すことに決定した。
決定し、母さん達も寝静まった頃、僕とラクスは子供達の部屋へと向かった。
一応、起きていないかをチェックするためだ。
しかし、部屋には驚くべきものが置かれていたのである。
なんとプレゼントが置かれていた。
さらに、自分達の用意していなかったお菓子まである。
シンドウを始めとする子供達は、すやすやと眠っている。

「一体、誰が置いたんだろう?」

「もしかしたら、先程の方かもしれませんわね」

まさかとは思いつつもあえて口にはしなかった。
もしかしたら、の可能性を少しでも信じたかったからかもしれない。
そして、僕とラクスはクリスマスの夜を過ごすのであった・・・。



END



後書き
これはごく一部のみ修正しました。
クリスマスイブに起きた事件ですね。
この男の謎と、オーブの守護者の謎は続きにて。
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タイトル