キラ:「あれは!」
戦闘の最中現れた1隻の戦艦。
それは地球軍の新型艦“アークエンジェル”だった。
クルーゼ:「新型艦?仕留め損ねたか」
ザフトのエリート部隊が爆弾を仕掛け忘れ失敗した?
有りえない。
ならば、装甲が厚かったのだろう。
それ以前に搭乗員が生きていたことにも驚きだが。
マリュー:「アークエンジェル!」
「PHASE−3 崩壊の大地 Aパート」
チャンドラ:「モルゲンレーテが大破。ストライクが・・・・・・戦闘中!」
状況を把握するアークエンジェルクルー。
そこは地上にストライク、空中にはメビウス・ゼロ、シグーが入り乱れた戦況だった。
クルーゼは新型艦に攻撃を仕掛ける。
ナタル:「回避!面舵!」
マシンガンはナタルの賢明な判断により回避された。
次にクルーゼはストライクの方へと、標的を変更する。
シグーの搭載武器でPSを破れるかを試すために。
クルーゼ:「フェイズシフト・・・これならどうだ!」
マリュー:「みんな!伏せて!」
彼女はそう指示した。
しかし、このままだと当たる。
キラはミリアリア達に銃弾が当たると思い、前に出る。
もちろん、実弾はPSに通用しない。
シグーがストライクから離れた事を確認して、ナタルはミサイルを撃つように指示する。
同時にレーザー誘導でシャフトや地上に当てないようにとも。
すぐにミサイルは発射された。
1発はマシンガンにより破壊され、2発目以降はシグーの回避で誘導され、コロニーを支える柱に直撃した。
柱はまさにち切れようとしていた。
キラ:「冗談じゃない!」
彼はこのままではヘリオポリスが崩壊すると思い、シグーをロックする。
自分の使おうとしている武装の威力、そして、それがどんな結果を生むかを知らずに。
マリューが静止するよう言ったが、時はもうすでに遅し。
あまりの早さにクルーゼも完全な回避は出来ず、右腕を被弾した。
その威力はコロニーの内壁へと直撃。
コロニーには巨大な穴が開く事になった。
その穴からクルーゼはコロニーから脱出した。
なお、キラが使った武装は長距離インパルス砲、通称アグニ。
エネルギーの消費が激しいが、ストライクの武装の中でも最も強い火力を持つ武装である。
ナタル:「着陸する。重力の発生に注意しろ」
アークエンジェルはヘリオポリスの地上に降りる事になった。
まずは、ストライクに接触しなければいけなかったからだ。
*
アスラン:『まさか・・・いや、そんなはずは!』
彼はOSを調整しながら思う。
あの時居た人物がキラに思えて仕方ない。
だが、あれはきっと別人だろう。
キラがあんなところに居るはずはない。
気づくと、OS以外に別のところもいじってしまったらしい。
アスランはすぐさま整備員に謝る。
調整も終わり、一息つこうと考えた時だった。
クルーゼ隊長が帰還、被弾しているらしい。
そのことを聞き、よりキラの存在が気になっているアスランであった。
*
ナタル:「ラミアス大尉!」
アークエンジェルに着艦したストライク。
そこに少年達とマリューは手のひらに乗っていた。
降りると、すぐさまアークエンジェル搭乗員が走ってくる。
マリューは搭乗員と無事だった喜びを分かち合う。
話も一段落すると、ストライクのコックピットが開く。
そこには少年が居た。
少年が降り立つとマリューの近くに居た少年達が彼の周辺に集まる。
ナタル:「ラミアス大尉、これは・・・?」
ムウ:「へぇ〜。こいつは驚いたな」
彼女の問いにどう答えたら言いか分からなかったマリュー。
その時、現れたのはスーツ姿の男性だった。
自分達に近づいてくると男性は正体を明かす。
ムウ:「地球軍第7軌道艦隊所属、ムウ・ラ・フラガ大尉。よろしく」
続けて、ナタルとマリューも自己紹介を行う。
終えると、ムウは目的を話す。
どうやら、乗艦許可が欲しく船の上官を探しているようだ。
ナタルは事を話し出した。
船の艦長を始めとする主だった士官は死亡。
生き残ったのは下士官の数10名。
階級から言えば、マリューがその任にあると。
ならばとムウはマリューに許可をくれるように言う。
まあ、状況が状況なのですぐに許可するマリュー。
次にムウは少年達に顔を向け、「あれは?」とたずねる。
その疑問にマリューは答える。
見ての通り民間人で何故か工場区に居た。
なのでGに乗せ、あれだけは守る事ができ、ジンを1機撃退したと。
さすがにこれにはナタル達も驚きを隠せなかった。
話を聞いたムウはキラという少年に近づき、言い放った。
ムウ:「君、コーディネーターだろ?」
その発言に搭乗員達がどよめく。
地球軍は基本的にナチュラルで構成されている。
その中でジャン・キャリーのようにコーディネーターも居るが、それはごく少数の話だ。
そのため、驚くのは当たり前だった。
キラ:「はい」
彼の言葉を聞いた防弾チョッキを着た軍人達は銃を向ける。
今、戦争している相手はコーディネーターなのだから。
だが、キラの前にトールが立ちはだかる。
トール:「なんなんだよ!それは!コーディネーターでもキラは敵じゃねえよ!さっき、見てなかったのか?どういう頭してるんだよ!お前らは!」
必死に抗議するトール。
彼の様子を見るに、いかに信頼されているかが分かる。
????:「銃をおろしてやってくれないか?いくらあなた達が地球軍でも、オーブの民間人を殺すと、オーブの法律が優先され、あなた達は罪に問われますよ?」
急にハッチの前に1機のMSが着陸した。
着陸の行動をしながら、外部に聞こえるように音声を入れている。
勝手に着艦したMSから現れたのは、シルバーを主にカラーリングされたパイロットスーツ姿の人だ。
ヘルメットをしているが、音声から判断するに男性だろう。
スーツ姿の者はヘルメットを取る。
キラはその顔になんとなく見覚えがあった。
かつて、ヘリオポリスに居たマサカズのような気がしてならなかった。
END