夏を迎えたオーブ。
と言っても、オーブは南半球だから、今は冬だって?
そういうこと気にしていたらきりがないよ。
って、僕が突っ込みたいんだけどね。
どうやらこのサイトでのオーブはオーブ=日本になってるみたい。

「キラ、何を説明してらっしゃるのですか?」

「別に」



「花火祭り」



あ、使ってしまった。
去年のテレビで話題になったこの言葉。
いや、気にするほどでもないんだろうけど。

「キラ、早くしてくださいね。皆さん、もう始めてますわ」

うん、今行くよ、と僕はラクスに言った。
時間は夜。
僕は家の戸閉まりを確認して、海岸へと向かう。
今、海岸でみんな集まって花火をしている。
元々の発端はラクス。
プラントでは花火大会はあっても個人での花火はやったことないらしい。
やってみたいですわ、というラクス。
これに便乗したのが、母さんをはじめとする大人3人達。
さらにはシンドウ、エイミ、エレーナといった子供達のリーダー3人までやる気に。
もはや、太刀打ちできないようになり、花火をやることになったのである。
材料の買い出しは何故か僕。
一体、僕の立場って・・・。
そんなことを回想しながら、僕は途中で待っていてくれたラクスと合流し、一緒に海岸へと向かった。

「キラは花火をしたことがありますか?」

「僕は2回目かな?1回目はアスランとしたことあるから」

コペルニクスでね。
そういえば1度だけもう1人を加えてしたかな。
その人は長編に登場する彼だけど。
まあ、ここをはじめとする短編ではまともに登場しないだろうけど。

「あれは何ですか?」

ラクスが指を指す。
そこではロケット花火が打ち上げられようとしていた。
先陣を切っているのはシンドウのようだ。
近くにはバルトフェルドさんも居る。

「みんな離れていろよ!」

「分かった」

「シンドウ兄ちゃんだけずるいよ!」

数秒後、花火は打ち上げられた。
僕達の位置でも確認できる。
そんなに離れていないからだろうけど。

「まぁ!綺麗ですわね」

「うん、花火大会とかの時とは違って、個人で花火をするのもこういう面白みがあるからね」

などと言っていると、みんなの居る所へやっと着いた。
母さんが遅い!何やってたのと言ってくる。
それをなだめるマリューさん。
僕は僕なりに準備していたのに・・・。
気づけば、トリィが僕の肩に止まっていた。
いつの間に?
というかどこに居たんだろう。
ここ数日見なかったのに。
辺りを見回すと、海岸にやってくる2人の影が見えた。
あれは、アスランとカガリだ。

「お〜い、キ〜ラ、ラ〜クス」

カガリが叫んだ。
叫んでいるというのは間違っているような気がするんだけど。
走ってきた2人によると、仕事が早く終わったため来たとのこと。
トリィについては先日来たときに少し、様子がおかしいことに気づいたアスランが僕に何も言わずに、勝手に持ち帰り修理したとか。
何で僕に何も言ってくれなかったのだろう。
そう思っていると、アスランがシンドウ達を見て、呟いた。

「花火か。懐かしいな」

「うん、そうだね」

反応して答えてしまう僕。
僕自身確かに懐かしいのだ。
大人になるとどうしてもしなくなってしまう。
こう言う時は夏の曲を聞きたくなる。
気づけば僕とアスランは口ずさんでいた。
夏が過ぎ〜、君が居た夏は・・・といった曲を。
この後、僕とアスランは2人だけの世界になっていたらしく、ずっと思い出話に花を咲かせていた。
気づいた時には、最後の花火になっていた。

「みんな、線香花火するわよ!」

母さんが仕切ってみんなに聞こえるように言った。
線香花火は日本が発祥の地でいいのかな?
僕はこの辺の知識が詳しくないから分からないけど。
どうやら、日本ではこの線香花火を一番長く持たせた人が勝ちだとか。
これは花火の締めをくくる定番らしい。
もちろん、事態に気づいた僕やアスランは参加。
バルトフェルドさん達はともかく、母さんまで参加している。
この間の諸々のことは無視してね。
誰がスタートを言うのだろうと思ったら、マルキオ導師だった。

「では、始めてください」

綺麗な火花が地面を照らす。
早くも脱落したのはバルトフェルドさん。
続いて、多くの子供達。
その中にはシンドウも。

「あ〜あ」

カガリが脱落。
それを追うようにマリューさん、エイミが脱落。

「ここまで残れたのに・・・」

「しまった!」

エレーナと僕が脱落した。
残っていた子供達は全員が脱落。
そして、母さんまでも脱落。
最後まで残ったのはアスランとラクス。
どちらとも真剣な表情になっていた。
だが、戦いにはいずれ終りが来る。
ほぼ同時に火玉が落ちる。
結果は判定に持ち越された。
そして、大人3人の厳正な審査が下される。

「今の勝負は全員一致でラクスさんの勝利!」

マリューさんにより発表され、子供達、カガリやアスランから拍手が沸き起こる。
もちろん、母さん達や僕も拍手する。
ラクスはありがとうございます、と照れくさそうに言った。
こうして海岸での花火は終わった。
その後は片づけてから、アスラン達は家へ帰り、マルキオ邸へ戻る。
たまには花火もいいかもしれない。
だけど、ほどほどにしないとね。



END



後書き
すみませんが、この作品掲載=更新復活ではありません。
この作品は8月中に掲載したかったのです。
完全復活は今しばらくお待ちください。
なお、エレーナ、シンドウ、エイミは当サイトオリジナルキャラであり、マルキオ邸に居る子供達の中でもリーダー格であります。
彼らは長編において・・・という話はまた機会のある時にでも。
そういえば、キラとアスランが口ずさんでいた曲は有名な物ですね。
私と同世代・・・じゃなくて、10代の方でも知っている曲ではないでしょうか。
夏が過ぎ〜の曲は名曲だと思います。
一方でアスランが口ずさんでいた曲は○夏祭りのCMで流れていましたし。
こちらは意外と2000年verがカバーと知られてなかったりするようですね。



タイトル