「キラ、ちょっといい?」
そんな風に僕は母さんに突然呼ばれた。
母さんのことだから、おつかいあたりだろう。
この年でおつかいってのも、正直微妙な気持ちなんだけど。
「何?母さん」
「あのね、花屋に行って来て欲しいの。母の日を忘れた罰よ」
母の日を忘れた罰?
あまりにも理不尽だとしか言いようがなかった。
まず、母の日をやろうにも出来なかったという事。
出来なかった理由は・・・大人の事情ということらしい。
「母さん、分かっていると思うけど忘れたんじゃなくて、出来なかったの間違いなんだけど」
「そうは言ってもね、とにかく花屋に行って来て!今の時期はカーネーションじゃなくてもいいから、ね?」
結局、僕は花屋に行くことになった。
ただ単に、プレゼントが欲しいだけじゃないの?
と思いつつ、母さんに従うしかなかった。
「普通でない花屋」
「すみません、わたくしも花屋には行った事なくて・・・」
花屋と言っても、僕に知識があるはずはなかった。
なので、ラクスに相談してみた訳なんだけど・・・。
どうやら、彼女も花屋に行ったことないらしい。
「じゃあ、私のオススメの花屋に行ってみる?」
話に入ってきたのはエイミだ。
女の子ってやっぱり花に興味があるのかな?
聞けば、エイミの行きつけの花屋があるらしい。
僕もラクスも、エイミより土地勘はないので、彼女が居てくれると本当に助かる。
「エイミ、あなたの行きつけの花屋に行きましょうか。キラもそれでよろしいですね?」
「うん、僕もその方が助かるよ」
僕達は支度をして、その花屋に向かった。
ラクスは最初、僕と一緒に歩いていたが、気づけば今はエイミの隣に居て、二人は楽しそうに会話している。
どんな会話が繰り広げられているのか、僕には分からない。
僕にはただ、二人を見ながら歩く事しか出来なかった。
「ラクスお姉ちゃん、キラ兄ちゃん、ここだよ」
僕とラクスは、エイミの指差す方へ顔を向ける。
そこには明らかに花屋と思えない店があった。
これには僕もラクスも思わず、顔を見合わせてしまう。
しかし、ここまで来て入らないわけにはいかない。
エイミに連れられるまま、僕達は恐る恐る店へ入る。
「いらっしゃいませ〜。あ、エイミちゃんじゃない!」
「こんにちは、ナツコさん」
中は・・・やはり普通とは言いがたいものだった。
とても花屋とは思えない品揃えである。
いや、花の種類はたくさんある。
しかし、まるでコンビニみたいな品揃えだった。
さらに何故かCDコーナーがあり、そこにはラクスの特集と・・・ん?
射手座何とか、ダイアモンド・・・って、何かが可笑しいんですけど。
「エイミ、あのCD特集の・・・」
「あ、あれはね。ナツコさんの声とあの歌手の普段の声が凄っく似ているの!」
その歌手は全く聞いた事すら、ないんですけど。
銀河の歌姫って言われても・・・ねぇ。
「ラクス・クラインさん・・・ですよね?私、大ファンなんですよ!」
「ありがとうございます。あの・・・お花を買いたいんですけど・・・」
さすが、ラクスだ。
自分のペースを維持している。
そういえば、ラクスはB型・・・って血液型は関係ないか。
隣でエイミが、ナツコさんのオススメする花を持ってきてと、言っている。
「あ、はい。少し待っていてくださいね」
数分後。
彼女が持ってきたのは、なんときちゃったカーネーション。
季節はあまりに外れている花。
とはいえ、持ってきてくれたのは事実。
僕とラクスはそれを買って、マルキオ邸に戻った。
エイミはナツコさんとしばらく話してから、戻るとの事。
*
「キラ、約束のものは?」
「季節後れのカーネーションだよ」
何故か、カーネーションに喜ぶ母さん。
やっぱり、プレゼントが欲しかっただけじゃないのかな?
と思いながら、その場を切り抜けた。
でも、あれだけは言っておきたい。
「母さん」
「何?」
「ありがとう」
僕はそう言って、その場を去った。
やっぱり、照れるものだからね。
お礼を言うのって。
「え?ちょっと、キラ!・・・もう、ありがとう、キラ」
END
後書き
久々の短編です。
ネタはマク○スFのものですな。
この作品のキラはまあ、フリーダムみたいに凄いんですがね。
曲はオリコン上位に来るほどに有名な物が多いですので、機会があれば一度聞いてみる事をお勧めします。
作品自体もオススメで、その人気度はブルーレイの売上1位を記録するほど(少し違うかもしれません)+某球団の監督がガンダム禁止令により、この作品に不倫していることでも有名です。
さて、マク○スFの話は置きまして。
というわけで、今回初登場がナツコ。
イメージCVはネタで分かる人も居るかもしれませんが、遠藤綾さんです。
しかし、この時系列(SEED終了後)のみ変な方向へ拡張されてますね。
いい加減、DESTINY終了後も書きたいのですが、創作意欲が・・・。