あれから僕は子供達と遊ぶようになり何日か過ぎた。
今日は珍しく力ガリとアスランが遊びに来ている。
2人とも僕の様子を見て、目玉が飛び出そうなほど驚いていた。
それほど以前の僕が酷かったのだろうか。

「しっかし、よくキラがここまで元気になったよな」

「ええ、大変でしたわ」

「本当 ラクスさんがいてくれて助かったわ」

「キラ君には、ラクスさんが必要だわ」

などラクス達が話していた。
女性陣と男性陣で分かれて、雑談をしている。
一方で僕達、男性陣は・・・。

「うーん コーヒでも飲むかね?」

「「いえ 遠慮します」」

「キラ、アスラン二人揃って断らんでも」

こんな感じ。
バルトフェルドさんのコーヒーは本当に苦いんだよね・・・。
そう思っていると、玄関のチャイムが鳴った。

「誰だ?せっかくラクス達と話していたのに・・・」

カガリが怒りそうだった。
短気な人はどうして短気なのだろう。
そう思いながら、僕は彼女をなだめて、玄関へと向かう。
玄関を開けた先には黒い髪の男性が立っていた・・・。



「生き残りの兄」



「どちら様ですか?」

「お前、キラ・ヤマトか?」

僕の質問は軽くスルーされた。
どうして僕の名前を知っているのだろう。
この人と会うのは今回が初めて。
しかし、初めて会った気がしない。
まさか・・・。

「どうして、僕の名前を知ってるの?」

「俺は力ナード・パルス。お前から見れば俺は・・・失敗作だ」

”矢敗作”という言葉を聞き、僕の体は震えた。
まさかと思っていた事が現実になったのだ。
自分のような成功体が居るのだから、失敗作が居ても可笑しくはない。
そう考えるうちに僕はあの人を思い出した。
あのラウ・ル・クルーゼと言う人を。

「僕を殺しに来たの?」

あの人と一緒の考えなのかもしれない。
そう考えたら、この言葉が出てしまった。
丁度、自分の後ろにラクス達が立っていた。
ただならぬ雰囲気ということを感じ取ったのだろうか。

「いや、そのつもりはもうない」

「じゃあ、何で此処へ?」

「マルキオという人にこれを渡しに来ただけだ」

そう言って見せてくれた物は首飾りだった。
マリューさん達はマルキオという言葉を聞き取れたらしく、マルキオ様を連れてきた。
「首飾りとはプレアのですか?」

「ああ、そうだ 死ぬ間際に渡すように頼まれた」

「そうですか・・・」

今の会話から察するに、首飾りはプレアと言う人の形見なのだろう。
にしても、疑問は残る。
そのプレアという人物のことだ。
誰もが思ったであろうその疑問を母さんがマルキオ様にたずねる。

「マルキオ樣、プレアって誰なのですか?」

「プレアとは、運命の子です」

運命の子?
さらに疑問が増える。

「私は戦争が停戦する前、彼にNジャマーキャンセラーを奪取するように言いました」

Nジャマーキャンセラー。 フリーダムにも搭載されていたNジャマーを無効化するシステム。
つまりは核動力を可能とするものだ。
何であんな物が・・・。

「それから、連絡はありませんでした・・・」

マルキオ様の表情は、悲しそうだった。
それほどに大事な人だったのだろう。

「俺はNジャマーキャンセラーを奪うためブレアと戦った。何度も戦い・・・最後の戦いで俺は死を覚悟した」

「でも、あいつはお前を助けて、死んだ」

聞き覚えのない声がする。
カナードと言う人の後ろを見ると、見知らぬ人が立っていた。

「お前、確か口ク・キュールか?」

「おいおい、俺は、口ウ・ギュール!ジャンク屋だっ!」

そのロウという人とカナードが会話している。
しかし、気づけば口ウという人が僕を見ていた。

「僕に何か?」

「元気になってよかった それにしても、あの爆発でよく生きていたな」

爆発? そう聞いて、あの時のことを思い出した。
爆発で思い出したのはアスランとの戦いの時の事だ。
最終的にイージスの自爆と言う結果で終わった。
僕は死を覚悟したけど、気づいたときにはクライン邸で、ラクスが居た。
そこから推測すると、この人は僕が気を失っていた時期を知っている人なのだろう。

「彼なのです。あの爆発に巻き込まれた君の命を救ったのは」

マルキオ様に言われて、先程の考えは確信に変わった。
そう。
爆発はあの時、僕とアスランが戦ってた時に起こった。
あれは・・・(以下略)

「助けてくれてありがとう」

「別にお礼はいらねえよ」

などと、僕と口ウは会話をしていた。
それを聞いていたカナードという人が怒り始める。
忘れられて、目の前で会話されているのが嫌だったようだ。
見かねたバルトフェルドさんが話しに割り込んだ。

「とりあえず話を戻そう」

「ああ、俺はプレアが死ぬまで、お前・・・キラ・ヤマトを恨んでいた。でも、あいつは教えてくれた。自分は自分だって事を」

「マルキオ様、プレアという人って何者なんですか?」

アスランが、マルキオ様にたずねる。
僕も先程の話から気になっていた。
プレアという人を。
マルキオ様の話から、普通の人ではないのは予想できる。
Nジャマーキャンセラーを預けれるほどの信頼された人物なのだから。

「彼はクローンです」

僕は頭が痛くなった。
クローンで頭に浮かんだのは、やはりあの人。
後ろを見るとラクスとマリューさんが心配して僕を見ていた。
僕は大丈夫だよ、と口に出した。

「おそらく、プレアの寿命が尽きたのでしょう?」

「ああ、たぶんだがな・・・」

そうなんだ。
と考えていると、カガリが割り込む。
その発言は明らかに空気読めないと言える発言だった。

「なぁ、カナードってキラの兄なのか?」

「ちょっとまってよ!いきなり雰囲気ぶち壊して、何で兄なの?弟かもしれないのに」

そこか、と思われるかもしれないけど、非常に不愉快だ。
何の根拠もなく、姉と言うカガリ。
あの時は状況が状況だった・・・とは言えない。
結局、僕は弟、カガリは姉ということになっている。

「いや、だったら俺が兄だ。キラやカガリより一つ年上だ」


その後、さっきまでの暗い会話が嘘のように楽しい会話になっていた。
あの会話から、2人を家の中に入れた。
詳しく話を聞こうだとか、なったからである。
しかし、家に入れてからの話はロウのことが中心となった。

「へえ〜口ウがそんな事をしていたとはな」

とりあえず会話の内容は僕がストライクに乗って宇宙にいた頃に口ウが何をしていたかという事。
ちなみに今はアスランが話している。

「じゃあ、キラとラクスが出会ったのは口ウのおかげだな」

ルトフェルドさんがズバリ突く。
話を聞く限り、確かにと思う。
ラクスもロウさんの声を聞いた事があるらしい。

「そうですわね。ロウさんが居なければ、わたくしとキラは出会ってませんわね」

実はロウさんがいなければ、僕とラクスは出会ってなかったらしい。
偶然なのか、それとも・・・。 それに、このことは長編とかに載るらしい。

「さてカガリ、もう寝るぞ」

アスランが言いだした。
なんでだろう。

「まて、俺はキラとラクスは認めたが、お前とカガリの事はまだ認めていないぞ!」

力ナードが言った。
僕とラクスの事は認めて・・・。
あれ?
何でこんな話になってるの?
というか、どうしてカナードが保護者顔しているの?

「カナードそれは・・・」

「カガリは黙っていろ!これは兄貴として認めるわけにはいかない! だが、今はキラとカガリと話をしたい。いいか母さん」

あれ? 何でカナードが母さんって呼んでるの?

「いいわよ、三人でごゆっくりどうぞ」

母さん、すぐに認めちゃだめだって!
ってか、臨機応変すぎるよ!
と思いながら、その後、僕達は夜遅くまで話し合った。
翌日、力ナードとロウは、また来ると言って帰っていった。
その日、何故かラクスの機嫌は悪かった。
本人はいつもと変わりませんわ、と言っているが、いつもと同じではなかった。
結局、僕はその原因が分かるはずも無く、その日を過ごすのであった。





END



後書き
カナードがマルキオ導師に会う話はこんなのじゃない!という苦情は受け付けません。
ちなみに本来、この時点でロウは地球には居ません。
これは改装後に原型を修正+加筆したものです。
なので、携帯版より長めになっています。
この作品の原型は携帯版にて掲載していますので、よければそちらも。



タイトル