「男達を癒す飲み物」



お酒。
それは未成年が飲んではいけないもの。
コズミック・イラにおいてもそれは例外ではないが、コーディネーターの場合、13歳から認められている。
若者には人気のない酒類だが、中年や俗におっさんと呼ばれるような人達には大好評の飲み物である。

オレンド:「久しぶりだな、ロイ」

ロイ:「まったく、ここへ来るのは何ヶ月振りだろうな」

ここは中立コロニーのルヴィックスのとあるバー。
彼らは、それぞれ敵対するところに所属している。
アスハ家へ所属するオレンド、サハク家にロイは所属する。
それぞれでの二人の姿を知る者からすれば、有りえない光景とも言える。

クランプ:「待たせたな」

後ろから二人を驚かすように一人の男が現われる。
彼は傭兵のクランプ。
かなり名の知れた傭兵で、腕は保障されている人物だ。

ロイ:「よし、マスター!始まりのあれを!」

マスター:「あいよ!お前達が揃うのを見るのはほんと、久しぶりだな。こっちも浮かれ気分になっちまう」

そう言って、マスターが出したのはビール。
彼らの始まりはビールで始まるらしい。

オレンド:「よし、それじゃあ、乾杯!」

3人でグラスを合わせ、笑いに満ちるバー店内。
そして、ゴクゴク・・・、と一気に飲み干す3人。
飲み干した時間はおそらく、10秒も掛かっていないだろう。
もちろん、お酒が慣れていない人などが飲むと命に関わる行為。
しかし、彼らはお酒が大好きな連中であるため、この程度の事は当然のように出来てしまう。
飲み干して彼らは、すぐさま声を揃って言った。

一同:「「「おかわり!!!」」」

マスター:「言い飲みっぷりだねェ。ちょっと待っときな」

ビールの準備をするマスター。
その待ち時間を利用して、彼らは話をしていた。

ロイ:「全く、今の若いのはなっとらん!あんなチャラチャラした格好なんてしおって・・・」

オレンド:「そいつは俺も同感だ。それに最近のは酒も飲めない奴が多すぎる!うちのチームの殆どの奴が全く飲めんのだ!」

クランプ:「お前ら、俺のように傭兵になったらどうだ?仲間なんていないから、気が楽だぞぉ!」

それぞれが愚痴をこぼす。
これはある意味での酒のいいところだと言える。
しかし、飲みすぎは明らかに毒であるのも、また事実。

マスター:「ふぅ。出来ましたよ」

次のが出てきて、さらに飲み干す3人。
その様子に近くで見ている人達も唖然としている。
飲めば飲むほど、陽気になっていく3人。
その中で、クランプは次なる酒を注文する。

クランプ:「よし、次はあの・・・うんん?あ、そうだそうだ。日本酒をくれえぃ!」

ビールの次に日本酒。
その発言は、バー店内をさらにどよめきが増した。
日本酒は酒の中でも、最も人気のある酒の一つ。
なお、ワインは若者に対して人気がある。
程なくして、日本酒が出された。
出されたものを飲んでいくオレンド達。

オレンド:「ぷはぁ!やっぱり、酒だぁ!俺の心満たしてくれるのは酒だ!」

クランプ:「本当にな!これがあるから、俺も仕事を頑張れる!」

ロイ:「酒がない生活なんて、俺もお前らも考えられねえよなぁ!」

彼がそういった瞬間、バーに居る者全員が同じ気持ちとなった。
常識的に考えて、酒が嫌いな者がここに居るはずはないのだ。

それから朝まで、バーは盛り上がったのだという・・・。 気づいた時にはオレンドが大変なことになっているのだが、それはまた別のお話。



END