「襲撃される特殊部隊」
デオム:「おいおい、こいつはやばくないか?」
彼らは今、危ない状況である。
依頼者に裏切られ、攻撃を受けているのだ。
レミーナ:「とはいえ、まずいですね。MSはマサカズの1機しかありませんよ」
オレンド:「おまけにマシンガンやサーベルは全部破壊されているぞ」
あまりの攻撃にマシンガン等が破壊された。
何とか、全身は残っている。
両足も両手も頭部も。
そもそも、攻撃されている理由が分からないのだ。
マサカズ:「だったら!格闘戦でやるしかない!」
その言葉にクルーは驚いた。
まさか、格闘戦という言葉が出るとは思っていなかったからだ。
MSの場合、格闘戦というのはサーベルを中心にして戦うことだ。
だが、彼はMSの格闘戦つまり、MSの肉弾戦を行うと言っているようなもの。
しかし、この戦い方をするには問題がある。
MSで格闘を中心に戦闘をする場合、OSやMSの関節にも調整が必要なのである。
サーベルなどなら、さほど問題はないが。
それをやらないで、行うには無理があるのだ。
デオム:「お前は死ぬ気か!?第一、お前は格闘家ではないのに」
マサカズ:「そんなもんは我流で十分だ!!」
彼は戦闘に集中するために通信を閉じる。
戦場での迷いは命を落とす。
半端な気持ちでも。
襲撃兵1:「へっへへへ・・・。これだけやれば、奴らも大人しく投降するだろうな・・・な!?」
その光景に兵は驚いた。
ジンが何も持たずに突撃をしているのだ。
それは無意味な行為にしか見えなかった。
襲撃兵1:「へ!死ぬ気だったら、死ねや!!」
そう言うと、兵士のマシンガンの銃口が火を吹く。
が、その攻撃を回避しながらマサカズのジンは近づく。
やがて、懐に入り、攻撃を炸裂させる。
マサカズのジンの右腕がコックピットに入ったのだ。
襲撃兵1:「んぐ!?」
彼の乗っていたジンは爆炎の中に消えた。
それ以前にコックピットを貫いていたので、まず助からない。
マサカズ:「次ぃぃ!」
武装も何も持たないジンは戦場を暴れまわった。
パンチやキックだけで兵のMSを破壊しているとも言える状況である。
その光景は有りえないとも思えた。
襲撃兵2:「ただのパンチだけで・・・俺達をやれると思うなぁー!」
叫びは空しく宇宙に響いた。
そして、爆発が轟く。
裏切りは許さない。
それがマサカズ達の部隊の鉄則だ。
マサカズ:「全く・・・パンチとかだけでここまで戦えるとはな」
この時、彼は自惚れしていた。
始めての格闘戦でここまでやれるとは思っていなかったからだ。
だが、彼は気づかなかった。
ジンが悲鳴をあげていることに。
音がするのでレーダーを見ると、母艦を守っていたジンがマサカズのジンへと向かっている事が分かった。
逃げると言う選択は選ばなかったようである。
襲撃兵5:「うぉぉぉー」
襲撃兵6:「でぇぇやぁ!!」
サーベルを横にし、前に構えて突撃する1機のジン。
もう1機は、マシンガンでサポートしているジン。
だが、こいつらをやればすぐ終わる。
そう考えたマサカズは攻撃を開始した。
マサカズ:「はぁーーーーー」
彼はまず、サーベルを持ったジンから対処する事にした。
マシンガンは数発当たっても、どうってことはない。
突撃してくるジンのサーベルを両腕で掴む。
その形はある意味、真剣白刃取に近い状態である。
敵のサーベルを掴んだまま、相手にキックを行った。
襲撃兵5:「何!」
キックの衝撃で後ろに下がるジンのコックピットの中で兵はそう叫ぶ。
まさか、サーベルを取られるとは思ってなかったからだ。
さらにマサカズは敵から奪い取ったサーベルを敵と同じように、剣を横にし、前に構えて突撃をする。
勿論、ブーストを上げ、加速力もつけた。
その攻撃をかわせなかった兵のジンはコックピットを切り裂かれ、爆破した。
残るは後1機。
彼は奪ったサーベルを右腕に持ち、スピードを上げる。
襲撃兵6:「くるな!来るなぁ!」
必死にマシンガンで応戦。
しかし、いくら撃っても当たるはずが無かった。
目の前に居るMSが怖くて怖くて仕方が無いのだ。
そんな敵のことを知らないマサカズはジンを縦に真っ二つに斬る。
もちろん、コックピットもだ。
彼は敵の戦艦へとMSを向け、スピードを上げた。
裏切った理由を聞いてからどうするかを決めるからだ。
とはいえ、敵が諦めた様子はなかった。
主砲をMSに向けて撃ってくるのだから。
MS1機相手に主砲を撃ったところで当たるはずが無い。
何故、そんなことが分からないのだろう?
マサカズはため息をつきながら、つくづく思う。
とりあえず、彼はサーベルで主砲を破壊した。
場合によっては、自分の母艦を狙われかねない。
そういう結論に至った。
そして、敵の戦艦に通信を送る。
マサカズ:「どうして、俺達を裏切った!?」
敵は数十秒経ってから答えが返ってきた。
襲撃兵リーダー:「我々はお前達の力が欲しかっただけだ」
力が欲しかっただけ。
何故、欲しかったのだろうか?
マサカズはさらに通信を送った。
すぐに答えは返ってくる。
理由はオーブ軍特殊01部隊が有名だったかららしい。
この部隊はオーブ軍でありながら、地球軍、ザフト軍の依頼をこなしているのも理由だそうだ。
だが、普通そのなことをすれば、両軍から睨まれるはずだ。
なのに、何故睨まれない?
その疑問を持った彼らは理由を確かめるべく、依頼をした。
と彼らは答えた。
マサカズ:「そうか・・・・・・そんな理由で襲われるとは、舐められたものだな。両軍から睨まれない理由など・・・お前達に話す義理はない!」
彼はサーベルをブリッジへと向けた。
いつでも刺せる状況だ。
その光景にブリッジは慌てふためいていた。
オーブ軍特殊01部隊は“優しい部隊”と聞いていたからだ。
襲撃兵リーダー:「待て、話せば分かる!話せば・・・」
マサカズ:「一つだけ教えておいてやる。話し合いで解決すれば・・・戦争は・・・・・・戦いは起きない!」
彼はサーベルをブリッジへと突き刺した。
戦艦は爆炎に包まれ崩壊。
彼らの戦いは終わった。
母艦に帰還しようとしたとき、アクシデントは起きた。
マサカズ:「関節部分が・・・ちっ!無理をしすぎたか。しかも、このままだと・・・・・脱出する!」
彼は脱出した。
脱出してすぐにジンは爆発した。
無理のある格闘戦を中心に戦闘したからだ。
そのため、関節部分に負担がかかり、耐え切れなくなったのである。
先程まで、爆発しなかっただけでも奇跡なのだ。
デオム:「マサカズの生体反応は?」
レミーナ:「あります」
デオム:「ふぅ。心配をかけおって・・・。おまけに唯一のMSまで・・・。よし、回収する」
宇宙に漂うマサカズを回収し、その宙域を後にした。
もう、ここに居る必要は無いのだから。
END