「プロローグ14 コペルニクスの出会いと別れ、そして・・・悲劇」




教師:「今日はみんなに紹介したい子がいる。マサカズ・ライモートだ。よろしく頼むぞ。キミの席はあそこだ」

マサカズは学校側にあることを頼んでいた。
今後に影響する事だ。

キラ:「僕はキラ、キラ・ヤマト。よろしくね」

マサカズ:「こちらこそ。キラ」

それはキラの近くに座る事。
学校には別の理由を言って、キラの隣にしてもらっている。
理由はキラの隣に座る事で、仲良くなりやすく、今後も動きやすいからだ。
マサカズの思惑通り、すぐにキラ、アスランと仲良くなった。
アスランとは昨日会った子であったため、マサカズは少し驚く。
相手もそうなのだが。
やがて放課後になり、適当な理由をつけて、キラの家に行く事になる。
勿論、キラ達はマサカズが別の目的で行くことなど気づくはずもなかった。
時間が経ってキラの家へたどり着き、ヤマト夫妻に会う。

カリダ:「初めまして、キミの名前は?」

マサカズ:「マサカズ・ライモートです。あの・・・トイレへ行きたいのですが・・・」

本当は嘘。
これも彼の作戦。
子供なら子供らしい考えで対応するのである。

カリダ:「トイレならあの部屋よ」

マサカズ:「ありがとうございます。キラ、アスラン、君達は外に出て、先に遊んでおいてくれ!」

カリダが指差した、方向へマサカズは向かう。
その際、キラ達には外で遊ぶように伝える。
キラとアスランは早く戻って来いよ!と叫んで、外へ出て行った。
マサカズはアスラン達が外へ出て行くのを確認すると、カリダのいる部屋へ戻って来るのであった。

カリダ:「トイレなら・・・」

マサカズ:「カリダさん、お話したい事があります。ハルマさんを呼んでいただけますか?」

先程の無邪気な声から、一変し真面目な声を出す。
これもまた、マサカズの作戦。
カリダは何かあると思い、偶然休みとなっていたハルマを呼び、3人でリビングに座る。
ハルマの仕事が休みなのも、彼の作戦の一つであるのだが。

ハルマ:「で、マサカズ君。どんな話なのかな?」

マサカズ:「キラの生まれについてです」

キラの生まれという言葉に夫妻はすぐに反応した。
この子は只者じゃない。
直感的に二人はそう感じた。

カリダ:「なんでキラの生まれの話なの?」

マサカズ:「この写真の持ち主から頼まれたもので」

カリダの疑問にマサカズは、写真を見せながら答えた。
その写真とはキラ、カガリ、ヴィアの3人が写っている写真。
裏にはローマ字でキラとカガリの名前が記されていた。
夫妻はこの写真の持ち主が誰かを気づく。
裏にキラとカガリのローマ字を書いている写真を持つ者はウズミなのだ。

ハルマ:「じゃあ、君はウズミ様の使いなのか?」

マサカズ:「私はオーブ軍特殊部隊所属、マサカズ・ライモート。この部隊は一応、ウズミ様直属の部隊です」

彼は素性を明かした。
その事実に夫妻は絶句する。
何故、ウズミの使いが来るのだろうか?
第一こんな子供が軍の特殊部隊に居る事自体、可笑しい。
もしや、カガリに何かあったのだろうか?
などとカリダとハルマは色々な事を考える。

ハルマ:「ウズミ様から何と?」

マサカズ:「そのことについては、この手紙を見ながら話すと致しましょう」

そう言って、彼はウズミから預かった手紙とかつて自分が見てしまったレポートを取り出した。
話し合いは1時間を優に越えた。
その頃、キラやアスランは遅いと思いながらも、気にせず外で遊んでいたのだった。

マサカズ:「・・・・・・・ではよろしいのですね?」

ヤマト夫妻:「「はい」」

マサカズ:「私は1年間このコペルニクスにいます。この事はウズミ様に話しておきますので。なお、私は普通の子供と同じように扱ってください。いくら、軍に所属しているとはいえ、私はまだ子供ですから」

長い話し合いの末、そんな会話で終わった。
話が終わって数分後、キラは帰って来た。
時間を見ると夕方の終わりくらいだ。

キラ:「マサカズ遅いよ!」

マサカズもさすがに時間をかけて、話しすぎたと自分に後悔した。
何と言おうかと、考えていた時にカリダからフォローが入る。

カリダ:「私達が呼び止めちゃったのよ。キラ、ごめんね」

母親の言葉を信じないわけにはいかない、キラは素直に信じた。
その後、マサカズも夕飯をご馳走になり家族の暖かさを知るのであった。
母と父の居る家庭の家族団らんを。
などの多くの事もあり、あっという間に1年が過ぎた。

マサカズ:「今まで、お世話になりました」

キラ:「なんで、行っちゃうの?」

アスラン:「そうだよ!ずっと僕達と一緒に!」

マサカズ自身色々な事を知った。
ここへ来た事は自分にとって、大事な思い出となっているのだ。
出来る事なら、ここへ居たい。
でも、父と呼べるウズミからの言葉である以上、行かなければならない
ウズミと久しぶりに会って、話をしたいという気持ちもあった。
それに奴を探さねば、いけないのだ。

マサカズ:「ごめん、それは出来ないんだ。キラ、アスランみんな元気で。それでは」

そう言って、キラ達の目の前からマサカズは去っていった。
それはキラが11歳の頃であった。



マサカズが去って2年。
キラ達は13歳となっていた。
キラとアスランにも別れが訪れる。
桜が舞う所で。

キラ:「アスラン・・・」

アスラン:「避難なんて意味ないとは思うけど・・・まさか、本当に戦争なるはずないさ」
キラもそのことを信じたかった。
アスランがプラントへ行く理由は避難である。
中立のコペルニクスとは言え、危険と判断したアスランの父親がプラントへ行く事を決めたのである。

アスラン:「このトリィをあげるよ」

アスランの手に居たトリィはキラの手へと渡った。

キラ:「ありがとう・・・」

やはりキラにとって、複雑な気持ちであった。
アスランが居なくなるのだから無理もない。
1年しか居なかったマサカズの時も別れたくなかったが、やはり長年一緒に居たアスランと別れるのは、もっと嫌なのだ。

アスラン:「キラもそのうちプラントへ、来るんだろう?」

その時キラは曖昧にしか、答える事が出来なかった。
自分の両親はナチュラル。
プラントが受け入れてくれるとは思えないし、両親がプラントへ行くとは思えないからだ。
とりあえず、何とも言えない状態である。
その会話を最後に二人は別れた。
二人が再会するのは3年後だが、再び中立の場所で再会することになるとは二人も思っていなかった。
やがて、キラもこのコペルニクスを離れた。



そして時は流れ、コズミック・イラ70年2月5日。
この日、コペルニクスで行われるはずだった月面会議がテロにより中断となった。
シーゲル・クラインは偶然にもシャトルの不具合により、難を逃れるのであった。
この日はさらに偶然にも娘のラクスの誕生日である。
ところが結局、テロに状況収集のため帰るのが遅くなった。
帰った時には夜10時過ぎ。

シーゲル:「ラクス、誕生日おめでとう」

シーゲルが帰る頃にはラクスはアスランと一緒だった。
忙しいシーゲルに代わって、婚約者であるアスランが祝っていたのだ。
勿論、当然と言えば、当然の事である。
アスランはシーゲルが帰ってくるのを確認すると、帰っていった。

シーゲル:「すまんな、ラクス」

ラクス:「いえ、わたくしもお父様のお仕事は理解しているつもりですわ」

親子はそんな会話をしているのだった。
一方のアスランも嬉しい気持ちであった。
だが、嬉しいのはアスランだけではない。
議長であるシーゲルの娘ラクスはプラント中から、誕生日を祝ってもらっているのだ。
しかしプラントがいずれ大変なことになるとは、このとき誰も知るはずもないのである。
バレンタインの日に悪夢が舞い降りる事など。



END




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