??:「で、私に何?」

????:「日本で戦いが起きた。その戦いの中心人物にライクが居るらしい。俺は別の件で動けない。すまないが、君に彼の身柄の拘束をお願いしたい」

??:「だったら、あなたが行けばいいじゃない?別にあなたなら、他の誰かに押しつけることができるでしょう?大体、あなたとライクは仲が良かったって聞いたわよ」

オーブのホテルでやりとりされる会話。
一人は男性、もう一人は女性。
これは日本で戦闘が起きて3日後にやりとりされた会話である。
日本の状況は世界全体に知れ渡っているわけではないが、裏の方にはすでに流れていた。
日本は危ない状況にあると言う事を。

????:「分かっている。俺が行くべきということも。しかし、今はサハク家の関係者を巻かねば、PXシリーズの製造が知られてしまう。それに日本は君の故郷・・・だろう?」

??:「・・・分かったわよ。行けばいいんでしょ。ところで、あなたはどこまで協力してくれるの?」

男性は鞄からディスクを取り出した。
それを女性へと手渡した。

????:「ライクと関係者情報はこのディスクに調べてまとめてある。日本復興の要請は俺からスカンジナビア王国へと伝える。もちろん、オーブからも行うよう申請しておく。ただ、すまないがMS、もしくは兵器は向こうで調達してほしい。今、俺のジンを貸すわけにはいかない。できれば、1日ごとに暗号通信も頼む」

??:「まあ、いいわ。ところでこれはあなた自身の依頼?それともオーブ軍特殊01部隊隊長としての依頼なの?」

????:「・・・両方だ」






「エピソード6 現状の整理」



キョウコはあの件があって以来、軍にいる。
本来なら新型MSである鉄火駆を無断に使用したため、拘束されてもおかしくない。
が、一応にも被害を防いだから、拘束されていないというわけなのだ。
そのため、今は保護・監視の名目でキョウコは軍にいる。
今のところキョウコはショウキとレンが様子を見ている。
これがまだ幸いであった。

レン:「キョウコちゃん、何か食べたらどうだい?」

ショウキ:「そうだよ、キョウコ。何か食べないと体が持たないぞ?」

彼女はあの戦いのあった3日後から何も食べていない。
ショウキとレンは理由を理解しつつも、食べる事を勧める。
いつ戦闘になるかは分からないし、上の命令は最悪の場合、どんな状態であっても出撃させる可能性があるからだ。
本当なら戦わせたくないが、どうしようも出来ない。
そのことで自分の非力さを二人は嘆いていた。

キョウコ:「私は戦いたくない。また、あの惨劇が繰り返されるのを近くで見たくないし、もう人殺しは嫌!」

街を守るためとはいえ、人を殺したことに変わりはない。
そのことを悔やむキョウコ。
ただ、あの時は無我夢中だった。
もし今の自分があの場に居たら、あのままに地下に居て戦闘が収まるのを待っていたはずだから。

日本軍兵士:「失礼します」

突如、日本軍兵士がレン達の部屋へと入ってきた。
レンは何の用だ?とたずねた。
すると、彼から予想だにしない言葉が返ってきた。

日本軍兵士:「それが・・・・・・東京が占領されました!!」

3人はその発言に驚きを隠せなかった。
聞いた口が塞がらないのである。
東京は日本の主都であり、戦力も最も蓄えられている場所である。

レン:「馬鹿な!?東京が占領されるなんて・・・あそこには鉄火タイプのMSが最低でも2機は居たはず・・・どこの奴らがやったんだ?ザフトか!?」

兵士は首を横に振る。
つまり敵はザフトではないということである。
では、どこなんだ?という疑問が浮かぶ。
兵士はその疑問に答えた。

日本軍兵士:「それは・・・」

??:「うちの情報によると、ギガー&ガグー、ジェニー&シルク、そしてライク・アセンらが手を組んだ連合勢力らしいわ」

突然、現われた謎の女性がそう答えた。
見るからに20歳は超えており、22歳前後といった顔立ちをしている。
髪は赤とピンクの狭間のような色に加えて、セミロングのような髪形をしていた。
その女性はキョウコ達の前に現われると、日本軍兵士を下がらせる。
余程の力を持った人物ということなのだろう。

キョウコ:「もしかして・・・マイさん!」

突然、彼女が驚いたように言った。
一方で相手のマイという女性も驚いていた。
どうやら二人は知り合いらしい。
二人は抱擁を交わしていた。
その後、レンとショウキからマイに事情が説明される。
全てを聞き終えると、マイは口を開いた。

マイ:「じゃあ、キョウコちゃん。あなたを解放するように私から言っておくわ」

ショウキ:「ちょっと待て!お前にそこまでの権限があるのか!?」

マイ:「私はオーブ軍特殊01部隊の副隊長マイ・ミズタカよ」

その言葉を聞き、レンとショウキは固まった。
オーブ軍特殊01部隊。
軍に所属する者ならば、一度は聞く部隊の名だ。
アスハ家直属の特殊部隊で、独立行動権まで所持するという普通では考えられない部隊である。
さらには戦争の運命までも左右すると噂されており、ジョーカーと例えられることも少なくない。
それゆえに危険視されており、ギャンブル達の間では地球とザフトの戦争のどちらに勝利をもたらすかの賭けまで行われているほどだ。
しかも、その副隊長が目の前に居るのだから固まるのは無理もなかった。

マイ:「どうしたの?言っておくけど、私は嘘をついてはいないわ。それに私はあなた達にとって有力な情報も持っているのよ?」

そう言ってマイが見せたのは数日前にオーブで渡されたディスク。
この中には各地で日本を襲撃した者に関するデータが入っているのだという。
あまりの有力情報にショウキとレンは顔を見合わせる。

マイ:「これが欲しかったら、あなた達もキョウコちゃんを解放するのに一役買ってもらうのが条件よ」

ショウキ:「・・・分かった。元々、キョウコは軍人じゃない。だが、まずはそのデータが本物かどうかを確かめてからだ」

あくまでショウキは軍人としての判断をする。
彼女の恋人としては一刻も早く開放したい。
それが本音だ。
しかし、軍である以上は上からの命令に逆らえない。
これにレンも同意見であったため、キョウコのことに関しては何も言うことが出来なかった。

マイ:「それじゃあ、見せてあげる」

そう言って、マイはディスクをその場にあったパソコンへと入れた。
パソコンの画面から映し出されたのは、マイの言うとおり、敵の勢力に関する情報だった。
敵に関するデータを見終えると、先程の兵士が再度部屋へと入って来た。

日本軍兵士:「大変です!テレビをつけてください!」

慌ただしい様子に何かおかしい。
全員がそう思い、レンがテレビのスイッチを付けた。
そこには全員が驚く映像が流れていた。



END



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