レン:「なんということだ・・・」

たった1機のMSにレンと数機のMAを残して、他の者は消えていった。
見た目はただの乱射だった。
しかし、その乱射にもしっかりとした作戦があり、その罠に掛かった者はもう居ない。
自分の頼れる部下であるショウキはまだ居ない。
もしかしたら、戦闘に巻き込まれ死んだのではないかという思いが、駆け抜ける。
このままでは勝ち目が無い。
そのことを理解した部隊の者は無気力状態となっていた。
もう、勝ち目が無い。
レン以外の者がそう思い始める。

バルド:「雑魚どもめ。もう終わりか!だったら殺してやる!」

2本の銃を放とうとした時、空に一筋の光が現れる。
死を覚悟したレン達も光の場所を見上げた。
光が現れてすぐに、MSは現れた。






「エピソード2 日本製MSその名は鉄火駆」



レン:「馬鹿な!あれは・・・鉄火駆!?」
彼は新たに出てきたMSを見てそう呟いた。
鉄火駆とは日本で独自に開発されていたMS。
そのMSは鉄火の如く、戦場を駆け抜けるという考えの下に作られた鉄火シリーズのMSの1機である。
この機体はそれぞれの地方で開発されていた機体。
レンも存在だけは知っていたが、実際に見て驚いた。
赤と銀の色を軸にしたデザインに加え、MSにしては少し小さいのが印象的だ。
バルドの方はというと、新型MSの登場に驚くも、すぐに仕掛ける事にした。
ここで新型が来るなど予測外だったのであるが、獲物が増えた。
それはバルドにとって確かだ。

バルド:「新型か!本当なら奪取しておきたいが・・・殺る!」

彼は2つあるマシンガンの一つのマシンガンをひっくり返す。
そこからさらにナイフを出して、もう一方のマシンガンで攻撃しながら突撃し始めた。

キョウコ:「あいつが・・・みんなを!」

まず、彼女は鉄火駆の武装を確認する。
とりあえず、剣みたいなものがあったので、彼女はそれを取り出した。
次にマシンガンの攻撃をかわしながら、彼女も突撃していった。

バルド:「はああああ!」

そして剣とナイフが重なり合う。
互いに一歩も引かずに戦うため、音と火花が激しくなる。
キョウコはどうしたらいいかと、別画面をちら見しているとあることに気づく。
それはさらに出力を上げる方法が映し出されていた事だ。
すぐさま、彼女はブーストのペダルを踏みながら、さらに突撃する。

キョウコ:「えいっ!」

新型のMSのブーストにバルドのMSが耐えられはず無かった。
ジンの強化型なのだから。
一気に押されるバルドのジン。
逃げようにも逃げられない。
さらにキョウコはここで追加攻撃を行った。

キョウコ:「くらえぇぇ!」

重なり合っていたナイフと剣が離れる。
離れてすぐに上へ剣を上げて、振り落とす。
コックピットとはいかなかったものの、左腕を切断する事に成功する。
バルドは「くっ」と声をあげる。
左腕がなくても、戦えるが、状況が不利。
そう判断したバルドは撤退する事を決め、離脱した。

キョウコ:「!?待てー!」

街をやられた怒りをどこへ向けたらいいか分からないキョウコはジンを追った。
とりあえず、奴を撃たないと怒りが収まらない。
彼女はバルドをとにかく追った。
バルドの方は後方から先ほどの新型MSが追ってきていることに気づき、右腕で攻撃する。
が、驚異的なスピードによりかわされる。
攻撃が当たるはずもなく、距離は次第に追い詰められていく。

バルド:「ならば!」

彼は逃げられないと悟り、脱出。
MSしか見えていない、彼女はバルドが脱出した事など知らず、ジンを真っ二つに切断する。

キョウコ:『やった!』

バルド:『次こそは、負けんぞ』

それぞれ、が心に誓い、戦いは終了するのであった。
戦闘も終了し、キョウコは福岡の街へ戻るとその光景に驚いた。
ビルは倒れ、街周辺はボロボロと言えるほど残酷なものだった。
敵は討てた。
でも、街と死んだ人はもう戻らない。
戦いがどれほど残酷なものなだろうか。
そう悟った彼女はコックピットの中で泣いていた。
そこに通信が入る。
レン:「おい!君は一体何者・・・・ってキョウコちゃんじゃないか!?」

通信を入れたレンは驚く。
日本製新型MSである鉄火駆に乗っていたの、ショウキの彼女であるキョウコなのだ。
何故、彼女が?という思いが浮かんでくる。
しかし、話を聞かないわけにはいかないので、キョウコにMSを降りるように指示した。

レン:「キョウコちゃん、落ち着いて聞いて。ポイント365に降りてくれないか?」

キョウコ:「はい・・・」

彼女は言われたとおりのポイントへと向かう。
一方でレンはショウキに連絡した。
ポイント365へ向かうように指示して。



キョウコ:「レンさん、私、私・・・」

彼女は泣きたかった。
よくよく気づけば、人を殺しているのだ。
勿論、敵兵のバルドは死んでいないが。
彼女は誰でもいいから抱きしめてもらいたかった。
しかし、彼は拒んだ。

レン:「もう少し、経ったら泣いていい」

と答えた。
その言葉を言ってからから、間もなくショウキは来た。
事情を知らないショウキはとにかくキョウコを抱きしめた。
この酷い有様の中で、自分達は奇跡的に生きているのだから。
ただ、今は再会できた喜びで泣けばいい。
二人を見守るレンの目にも一筋の涙が零れ落ちていた。
自分達は生きている。
これは奇跡で、素晴らしいことなのだ。
その場にいた3人はそのことを泣きながら、理解するのであった。
だが、3人はまだ知らなかった。
日本を巡る戦いが起きようとしていたことを。
この戦いはまだ、きっかけに過ぎない事を。



END



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