ヘリオポリス。
それはオーブの所有する中立のコロニー。
このコロニーにあるMSを巡って、戦いは起きていた。
それぞれの勢力の思惑も含めて。

ミゲル:「ラスティはどうした?」

アスラン:「ラスティは失敗だ!あれには地球軍の士官が乗っている!」

ザフト軍。
ケナフから情報を手に入れたクルーゼは迷わず、強襲を決行。
結果的に現時点でデュエル、バスター、ブリッツの強奪に成功する。
そして、アスラン・ザラがイージスを奪取した。

キール:「マサカズ、言うとおり来たが・・・これではカガリ嬢がどこに居るか分からんな」

マサカズ:「ああ、まずはこの状況をなんとかするべきだな」

オーブ軍。
ヘリオポリスに居る彼らはアスハの陣営。
ザフトの強襲の情報を手に入れた彼らは、いち早くここへとたどり着く。
そして密かに自分達で造っていたMSの1機を回収し現在に至る。
一方のサハク家陣営は宇宙空間でヘリオポリスを見物していた。
今、行けば本来の目的であるガンダムアストレイの回収がより不可能になるからだ。
彼らが動くのはまだ先。

マリュー:「Gをザフトに奪われるわけにはいかない!」

キラ:「でも、あなたは怪我してるんですよ!」

マリュー:「やるしかないの!あなたは大人しくしていて」

地球軍。
ヘリオポリスにて新型艦アークエンジェルとG兵器の建造を行った。
これはサハク家の協力によるものであった。
地球連合軍にとって最後に残されたG兵器であるストライク。
アークエンジェルの生き残った乗員は数人。
劣勢の地球軍、中立のオーブ軍、優勢のザフト軍。
この3つの軍がヘリオポリスを舞台に動き出す。
長きに渡る戦いへと誘うのであった。





「PHASE−2 その名はガンダム」



逃げ惑う人々。
ザフトは民間人より軍の施設や武装などを攻撃しているが、被害が出ないとは言いきれないのが現状だ。 だが、それは仕方がないの一言で片づけられてもおかしくはなかった。 避難する人の中にキラは友人の姿を確認した。

キラ:「サイ、トール、カズイ、ミリアリア・・・!?」

彼らのことを案じるキラ。
だが、戦局は進む。
これはゲームなどではなく、現実なのである。 目の前に現状にキラはそのことを改めて理解する。 イージスの近くに居たジンがマシンガンを放ってきたのだ。
その攻撃を動きがぎこちないもののなんとか、かわすストライク。
負傷しているのもあってからマリューの表情は苦しいことが感じられた。
ミゲル:「分かった。俺はあのMSを奪取する!アスラン!お前はヴェサリウスへ戻れ!」

その言葉と同時にミゲルは武器を持ち替える。
ジンの重斬刀(サーベル)へと。
彼の言葉を聞いたアスランは何故か先程のことを思い出していた。
まさか、本当にキラが?
先程、見たあの光景がどうしても頭から離れないのだ。 だが、せっかくのチャンスを無駄にするわけにもいかない。 キラの事を思いつつ、不完全なOSの調整を始めるのであった。

ミゲル:「とうっ!」

サーベルを振り下ろすジン。 しかし、後ろへ後退され当たらない。
だが、ストライクのコックピットの中では被害がなかったというわけではなかった。

マリュー:「後ろへ下がりなさい!死にたいの!?」

キラが衝撃でマリューの胸へ飛び込む。
本来なら、恥らったりするのだろうが、今は戦闘中。
それどころではない。
キラはすみませんと言いつつ、後ろへ戻り前を見る。
すると、ジンが近づいている。
次にジンは、上からサーベルを振り下ろそうとしていた。
それを見たマリューは何かのスイッチを入れ、ストライクの腕を交差する。
腕を交差するという事は、サーベルを受ける体制(防御)に入っていることを表していた。

キラ&アスラン:「「え!?」」

見ていたキラとアスランがほぼ同時に驚いた。 急にストライクの色がグレーから、カラフルなったのだから無理もなかった。
受け止められるとは思っていなかったため驚くミゲル。
そこにOSの調整がある程度終えたアスランが通信をいれ、説明した。

アスラン:「あれはPS(フェイズシフト)装甲だ!あれでは実弾兵器は全て通用しない!」

彼は言い終わると、イージスのPS装甲のスイッチを入れる。
そして、飛んできたミサイルに対しバルカンで撃ち落す。
一方で状況把握の済んだマサカズはキールに指示する。

マサカズ:「(さて、この場合・・・地球軍に味方するべきか)キール!お前はカガリ上を探せ!そして、ジンを破壊しろ!Mモードの武装ならジンを殺れるだろう。だが、民間人を巻き込むなよ!あいつらが狙うのは軍事施設や兵器のはずだから、上手く誘導するんだ!」

キールは彼の言うとおりに別行動を開始した。
本来なら、どちらにも味方したくない。
だが、襲ってきたザフト軍の方に味方をするわけにいかないのだ。
確かにオーブ側に非があるのは認めるが、市民を巻き込んでいるのだから。
彼は状況を見ながら、ストライクに乗っている方へ援護する事を決めた。

アスラン:「ちっ!?」

イージスの方へとマサカズはビームを放つ。
だが、当たるわけがない。
わざと外している。
つまりは威嚇攻撃というわけだ。
ミゲル:「アスラン、お前は戻れ!跡詰めとストライク奪取は俺がやる!」

確かに彼の言うとおりだ。
今ここで、イージスを壊すわけにはいかない。
自分の最重要任務はあくまで機体の奪取だ。 そう考えたアスランはコロニーの外へと向かう。
マサカズはビームを威嚇射撃ながらも外へと誘導していく。
この行動は民間人の被害を減らすのが目的であるからだ。
ミゲル:「いくら、装甲が良かろうがぁ!」

ストライクに対し、攻撃を加えていくミゲル。
実弾に無敵とも言えるPS装甲。 しかし、エネルギーを切らせば、元もこもないのである。
攻撃が当たってしまい、ビルに衝突するストライク。
そのとき、キラは見た。
逃げゆくミリアリア達を。
このままでは彼女達は死んでしまう。 彼らの様子を見てキラは思う。
みんなを守らなければ!
ストライクを刺そうとするジンの攻撃に対し、キラの手が動く。
スイッチを押し、レバーを引く。
次に体当たりでジンを倒させる。

キラ:「あなた軍人なんでしょう!?だったら、なんとかしてくださいよ!・・・・・・!?無茶苦茶だ!こんなOSでこれだけの機体を動かそうだなんて・・・!」

マリュー:「まだ、OSの調整全て終わってないのよ」

キラ:「どいてください!僕がやります!」

すると、キラはOSの調整を始めた。
邪魔をするわけにもいかないので、マリューは後ろで見守る。
だが、敵はOS調整の時間など待ってくれない。
キラはOSの調整をしながらイーゲルシュテルンで攻撃しつつ、ストライクの右腕でパンチを繰り出し、ジンを吹っ飛ばす。
その光景に見ていたサイ達に加え、マリューも驚いた。

キラ:「キャリ部レーションとりつつゼロ・モーメント・ポイントおよびCPUを再設定・・・、ちっ!なら疑似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結。ニューラルリンケージ・ネットワーク再構築・・・メタ運動野パラメーター更新、フィードフォワード制御再起動、伝達関数!コリオリ偏差修正、運動ルーチン接続!システムオンライン、ブーストストラップ起動!」

それはわずか数秒〜数分での出来事だった。
体制を立ちなおしたミゲルはマシンガンで攻撃。
攻撃をかわし、ストライクは上空へと上がる。
それを追って、ミゲルのジンも上空へと上がった。
キラ:「武器は・・・イーゲルシュテルン、アーマーシュナイダー・・・これだけかっ!」

武装を確認したキラはストライクの両手にアーマーシュナイダーを持たせる。
次に地上へ降りてジンの懐へと飛び込む。
左手のアーマーシュナイダーを右肩に、右手のアーマーシュナイダーをジンの頭部へと直撃させる。

ミゲル:「ハイドロ応答なしっ!?ちっ!」

ストライクの攻撃により、まとも機能しなくなったジン。 これではどうしようもないため、ミゲルは脱出すると同時に自爆装置を起動させる。
マリューが脱出する敵パイロットの様子を見て、離れて!と言うが遅かった。
ジンは爆発し、ストライクは爆風に飛ばされるのであった。
一方で場所は変わってこちらはアークエンジェルへと続く通路。
気を失っていたナタルが士官の遺体に当たり、目を覚ます。
そして、ナタルはアークエンジェルへと向かった。

ムウ:「ちっ!母艦が殺られたか!」

母艦を破壊したジンに対し、攻撃を浴びさせる。
その攻撃で、ジンは右腕を破壊され回避に専念していた。
光景を見ていたクルーゼは出撃する事を決め、ブリッジへと向かうのであった。


マリューは目覚めた。
どうやら、あの爆発から気を失っていたらしい。
その証拠に周りを見ると一人の女性が居た。
いや、女性と言うよりは少女の方が合っているのかもしれない。
目を向けると少女は声をかけてきた。

ミリアリア:「大丈夫ですか?」

彼女の問いかけにマリューはええ、と答える。
すると目の前に居た少女は、キラと呼んだ。
どうやら、先程までコックピットに居た少年の名前らしい。
やはり、大人しそうな少年だ。
そう思っていると、キラという少年が話し始めた。

キラ:「すみませんでした。勝手にあんなこと・・・」

Gを勝手に操縦した事を謝っているのだろう。
マリューはすぐに予測できた。
というより、あのように始めれば誰でも分かるのだろうが。
少年の話しが終えると先程の少女が水を持ってきた。

マリュー:「ありがとう・・・」

少年に体を起こしてもらい、水を飲むマリュー。
飲んでいると、どこからかガンダムがどうとか聞こえてくる。
声がする方を見ると、3人の少年が居た。
それだけなら、まだいい。
だが、一人はGを操縦しようとしていた。
恐らく遊びだろう。
とはいえ、遊びであったとしても、あれは軍の重要機密。
勝手に触るだけでも許されない。
その光景に怒りのようなものを覚え、すぐさま立ち上がり銃を取り出す。
マリュー:「Gから離れなさい!」

1発威嚇射撃を行う。
コックピット周辺に居た少年二人は驚いている。
当たり前と言えば、当たり前の反応だ。

キラ:「やめてください!彼らなんですよ?あなたをコックピットから運んだのは」

必死に弁明する少年。
確かにあの時は、彼に操縦させた。
おかげでジンを撃退できた。
だが、あの時はあの時。
今は今だ。

マリュー:「助けてくれた事は感謝します。ですが、あれは軍の重要機密です。民間人であるあなた達が見ていいものではありません。ましてや触れていいものではありません」

彼女の言っていることは明白だった。
軍の重要機密なのだから、民間人が見ていいものではない。
だから、マリューはキラ達に向けて言い放った。
さらにマリューは自分の前に集まるよう指示をする。
銃を持っているため、マリューの周辺にキラの同級生が集まった。
逆らえるはずが無い。
集まると彼女は、名前を言うように指示をした。
その状況に逆らえるはずもなく、一人ずつ自己紹介していく。
キラの自己紹介が終わると、自分の名前を言い始めた。

マリュー:「私の名前はマリュー・ラミアス。先程も言ったように、助けてくれた事は感謝します。ですが、あれは軍の重要機密。それを見てしまったあなた達はしかるべき所と連絡が取れ、処置が決定するまで私と行動を共にしてもらいます」

そこまで話すと、彼らの怒りが爆発した。
もはや、言いたい放題だ。
その中の言葉はマリューを怒らせた。
彼女は上に向かって銃を2発撃つ。

マリュー:「地球では戦争をしているの!そこで暮らす者はあなた達のように、穏やかな毎日を暮らしているわけではないわ!」

彼女の言い分は正しい。
それに対して、誰も反論できなかった。


ザフト兵:「ぬわぁ!」

マサカズ:「ふぅ。これで全部か?」

彼はイージスを外へ誘導した後、ヘリオポリス内に居たMSを撃退していた。
もちろん、民間人に当たらぬように注意してだ。 見える限り撃退をしたので、おそらくヘリオポリス内にはジンを始めとしたMSは居ないだろう。

キール:「駄目だ!あのお姫さん、まだ見つからない。もしかして、シェルターに居るんじゃないのか?」

だったら、安全だ。
しかし、シェルターに居ると言う保証はない。
もしかしたら戦闘に巻き込まれて、死亡していると言う可能性だって有りえる。

マサカズ:「カガリがヘリオポリスのどこへ向かったか聞いてないのか?」

キール:「全く聞いていない。だから、あのお姫さんを最初から監視しておくべきだったんだ!」

彼は愚痴をこぼす。
カガリはその行動力が武器だが、逆に言えば弱点でもある。

マサカズ:「じゃあ、キールはそのままヘリオポリス内の偵察と避難が遅れた人が居たら救助を頼む。で、ついでにカガリの写真を持って調べるんだ。もちろん、名前を伏せてな。俺は先程のストライクを探す」

そう話して、二人は別れた。
人を助けるのも、また軍人の仕事なのだから。

ムウ:「この感じ・・・奴か!」

一方、ヘリオポリス宙域。
彼は戦っているシグーからある男の気配を感じていた。
ラウ・ル・クルーゼという男の存在を。
一方のクルーゼも気配を感じていた。
目の前に居るメビウス・ゼロにはムウ・ラ・フラガが居る事を。

ムウ:「クルーゼ!!」

クルーゼ:「やはり貴様か、ムウ・ラ・フラガ!だが、今は貴様に構っている暇はない!」

彼はヘリオポリス内部へと入っていった。
ムウはその行動をするとは考えていなかったため、油断してしまう。
が、状況を理解すると体制を整え、クルーゼを追った。

ナタル:「残っているのは・・・・・・これだけか?」

こちらはアークエンジェルのブリッジ。
彼女はあの爆発の中助かった。
爆発というより、爆風と言うべきか。
残ったのは、彼女に加えて今話しているノイマンと数十名。
しかも、残っているのは下士官が中心であり、ここに左官クラスや将官クラスの人は居ない。
その状況でアークエンジェルを動かそうとしているのだから、状況は厳しかった。
それでも、やるしかない。 今、ナタルは生き残った下士官達をまとめあげ、次々に指示を出していく。 一方で指示を出しながら、ナタルは通信機器で通信を試みる。
だが、Nジャマーのせいで通信も繋がらない。
諦めようか。
と思われ時だった。
微かながらに声が聞こえてきたのだ。

キラ:「こちら、X・・105・ス・・ト・ラ・・・イ・ク!」

彼はマリューの言うとおりに従い、通信をおこなっていった。
だが、ストライク側にはアークエンジェルの通信の音声が聞こえない。
ある程度、通信を試すと彼は一端、ストライクを降りてマリューの元へ次の指示を聞きに向かった。
丁度、1台のトレーラーがキラ達の前に現れる。
乗っていたのはサイだ。
マリューによるとそのトレーラーにはストライカーパックというものが積まれているとのこと。 次にマリューはストライカーパックを装備させる事を指示し、キラは分かりましたと答え、ストライクに向かう。

クルーゼ:「邪魔だな。眠っていてくれると嬉しいのだがね」

コロニーの港付近で戦うムウとクルーゼ。
だが、戦いはムウが不利なように進む。

ムウ:「何っ!?」

メビウス・ゼロ最大の特徴の武装であるガンバレルが破壊されたのだ。
全てのガンバレルが破壊された訳ではないが、劣勢に立たされた。
今、彼は窮地に立たされていた。
彼は何とか残されたガンバレルで戦うが、すぐに破壊される。
それでも、抵抗するムウ。
必死にリニアガンで攻撃するが、簡単に回避されてしまう。
そして、敵のクルーゼの撃ったマシンガンが外壁の弱い部分へあたり、壁が破壊される。
それはつまり真の意味でのコロニー内部の扉が開く事を意味していた。
クルーゼは壁がなくなった方へ、向かいコロニーの居住区へと侵入する。 そして、発見した。
最大の標的である最後のG・・・ストライクを。

マリュー:「換装を急いで!」

敵は指揮官のシグー。
今攻撃されると危ない。
マリューの声が届き、キラは急いでOSの調整を行う。
それでも、状況は厳しい事に変わりなかった。
何とか戦っていたムウだが、リニアガンの発射兵器まで破壊されてしまう。 とうとう、ムウの乗るメビウス・ゼロは全ての武装が破壊された。
一瞬覚悟したムウだが、クルーゼは彼を撃墜しようとはせず、ストライクへと一直線に向かっている。
彼の目的はストライクの捕獲、あるいは破壊。
しかし、丁度OSの調整が終了し、キラはPS装甲のスイッチを押す。
キラも戦闘態勢に入ったとき、港の道が爆発する。

キール:「なんだ!?」

それは爆発場所から離れていても確認できるほどの爆発だった。
出てきた物に見ていた者は驚かされた。
そこから現れたのは新型艦アークエンジェルだったのだから・・・。





END
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