ブルーフレームから放たれたバズーカ。
そのバズーカを間一髪でかわしたロウ。
しかし、すぐに安心できるほど彼の攻撃は甘くはなかった。
すぐさまバズーカの連射がロウを襲う。
ロウ:「くそっ!マジなのか!?」
通信は閉ざされている。
もし、通信が開かれていても劾は攻撃を止めるような人間ではない。
そのことをロウは知っている。
やむを得ず、応戦するしかなかった。
ロウ:「くそっ!戦うしかないのかよっ!」
ビームを放つ、レッドフレーム。
しかし、相手はプロの傭兵である劾。
いくらハチが一緒だと言っても、まともに当たらない。
攻撃の手を止めない劾はバズーカを捨てるようなフェイントを行い、次なる攻撃を行う。
次にロウを襲ったのは脚部からのミサイルだった。
ロウ:「ちっとは遠慮しろよ!」
コックピットの中で、そう叫びながら彼は周辺にあった岩へと逃げ込んだ。
その岩はアルテミス陥落の際にアルテミスから離れた岩である。
光波防御帯の発生装置が破片ながら残っていた。
逃げ込むロウを見た劾は彼を追いかける。
劾:『ダーキン、イライジャ達はお前に任せるぞ』
「PHASE−11 対決!アストレイ対アストレイ Bパート」
ロウ:「なっ!?」
自分の後ろに居る劾からの容赦ない攻撃。
ハチの指示により、ギリギリで回避する。
彼のような危なっかしい戦いは劾からすれば、非効率な戦い方だ。
実際、バズーカの攻撃を避けたロウはビームライフルからビームを放ってくる。
まるで、下手な鉄砲数撃ちゃ当たるというような戦法だった。
あれでは最終的にエネルギー切れになるのが劾の目に見えていた。
光波防御帯の破片へ隠れたりしながら、ロウの攻撃を避ける劾。
その戦い方はハチもロウに注意していた。
ロウ:「うるせぇ!」
ハチのアドバイスを蹴ったロウ。
そんなやり取りなど知るはずがない劾はブルーフレームの左腕からジャマーを発射する。
ジャマーとは知らず、ミサイルだと思ったロウはそれをビームで撃ち抜いた。
撃たれた場所から煙が辺りを包み、視界を覆った。
自分が撃ったものがジャマーだとここに来て、気づいたロウ。
シールドを前面に出し、劾の攻撃に備える。
劾:「これで!」
煙の中からレッドフレームの前に現れたブルーフレーム。
彼はレッドフレームの盾を払い、さらにビームライフルを払った。
しまったと、ロウは思ったが、それは一瞬だった。
よく考えれば、ビームライフルはエネルギーの消費が激しい武装だ。
だったらいらない、と開き直り、右腕にビームサーベルを持った。
劾:「そうか・・・・・・」
レッドフレームがビームサーベルを持ったことを知ると、劾はまずミサイルランチャーから外していく。
これらを外すことにより、重量は軽くなり、素早い動きが出来るようになるからだ。
外し終わると、レッドフレームと同じく右腕にビームサーベルを持ち替えた。
それを確認したロウはブルーフレームへ接近し、襲いかかった。
ロウ:「このヤローッ!!」
ビームサーベルで切りかかる。
劾はその攻撃をシールドで受け止める。
その後は激しいビームサーベル同士の打ち合いが展開された。
彼らの戦いを見守るアルテミスの司令部、そしてホーム。
ホームではリーアムとプロフェッサーが劾の戦い方を冷静に分析していた。
リーアム:「実に効率的な戦い方です」
プロフェッサー:「そうね。ロウと違って、エネルギー消費を抑えながら、戦っているわね。まさに理想的な戦い方ね」
冷静に分析する二人に怒りを覚える人物がホームに居る。
それはキサトだ。
ロウの身を案ずる彼女は、必死に何か彼を助ける方法はないのかと二人に言い寄る。
相手が傭兵だけに勝ち目がないと思ったリーアムは何も答えられなかった。
プロフェッサー:「そん時はそん時でしょうね。ロウがいつも言っているでしょ?『俺の悪運は最強だって』彼はそこいらのナチュラルじゃない。コーディネーターの傭兵とだって張り合える本物の『バカ』だからね」
結局、信じることしかできないとプロッフェサーは口に出した。
それくらいしかできないキサトは彼の安全を祈ることしかできなかった。
一方でアルテミスでは・・・。
ガルシア:「いいぞ!そこだ!もっとやれ!」
この調子だった。
部下達もガルシアに呆れて、映像へと目をやる。
もちろん、劾やダーキンの人質となっているピレンモとイライジャを監視する兵士は別だ。
彼らは、二人が逃げないようにしっかりと見張っている。
人質となっている二人は複雑ながら、映像を見ていた。
何かしらを見ているガルシア達は気づくはずもなかった。
ダーキンがこのブリッジへ迫っていることを。
ロウ:「ぬおおおおっ!」
激しい衝撃に機体が揺れる。
戦闘慣れしていないロウには厳しかった。
その隙を劾は突いた。
レッドフレームの右腕からビームサーベル落ちる。
頭をフル回転させたロウはサッカーの要領でビームサーベルをブルーフレームへと蹴り飛ばした。
しかし、エネルギーが少なかったため、飛んで行くうちにビームサーベルの刃は短くなり、最後には刃がなかった。
結局、シールドでガードされてしまい、弾かれてしまう。
ロウ:「バッテリーはもうほとんどないか・・・となれば残りは!」
左肩後ろビームサーベルを右手で取り出す。
取り出して、すぐにハチへアドバイスを求めた。
自分より知識があるのだから、逆転できる方法を知っていると思ったからだ。
ところが、表示された言葉はロウの予想をはるかに上回る言葉だった。
それは根性。
筆で書いたように太く、背景には炎で燃え上がっている。
とても機械が言うような言葉ではない。
しかし、現在のロウにはとても合っている言葉であり、現在の状況を考えるとそれしかなさそうだった。
決意を新たにハチへビームサーベルに電力を回すように指示をする。
レッドフレームの左腕も生命維持装置の電力もなくすように言い、ロウは勝負に出た。
再び、激しいビームサーベルの打ち合いが繰り広げられる。
ロウ:「うりゃあぁぁ!」
劾:「くっ!」
激しいサーベルの打ち合いを制したのは劾だった。
宙に飛んでいくレッドフレームへ劾は通信を入れる。
劾:「残念だが、お前の負けだ。戦う術(すべ)はもう残っていないだろう。お前が生き残るには俺を相手にしないことだったな。俺を戦わせている奴を倒せばよかったのだ」
通信を入れ、レッドフレームのバックパック部分を掴み、劾はアルテミスへと向かった。
アルテミスへ連れて行かれる中、ロウは呟いた。
そういうお得な話は先に言え、と。
戦いを見ていたガルシアと地球軍の兵士達は喜びに充ち溢れていた。
3日前のアークエンジェルの際は死ぬ目にあったのだから。
END
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