ボス:「やはり、出てきたか・・・しかし、MS1機で何が出来る・・・?」
敵は自分達の予測どおり、MSを出してきた。
ジャンク屋はしつこいのが多い。
宝に執着している連中が多いからだ。
そうでなければ、ジャンク屋になる奴は居ないが。
ロウ:「うぉりゃ!」
ジャンク屋のMSはビーム兵器を放った。
だが、距離があるため海賊達には当たらない。
ボス:「こいつはビーム兵器!!ポーシャの言った通りだな。手に入れれば高く売れる!」
ビーム兵器。
それは戦艦クラスに装備を許された兵器である。
ザフトですら、未だにビーム兵器の小型化に成功していない。
一応の小型もあるといえば、あるがMSが持つには大きい兵器だった。
しかし、今目の前にあるMSはビーム兵器を持っている。
それは海賊達にとっての事実。
ボス:「ジャンク屋母艦に第二派のミサイルを放て!ただし、MSには当てるなよ!」
数発のミサイルがホームを襲う。
だが、これはプロフェッサーにとって予測範囲内。
ホームにはたくさんのクレーンがついている。
そのクレーンを使用し、ホームの中にあるジャンクの瓦礫を持ち出し、盾代わりにする。
ボス:「何!?」
「PHASE−8 ジャンク屋VS宇宙海賊 Bパート」
プロフェッサー:「この程度なら自動操縦で十分よ」
その後のミサイルも受けきったホーム。
第二派の攻撃も全て、受けきり、ロウから指示が出る。
彼女は指示通りに操作していく。
それは一見、奇妙だった。
いくつものクレーンが回っているのだ。
最初は分からなかったが、その意味はすぐに海賊達にも分かった。
ジャンク屋はクレーンを使用し、ジャンクの瓦礫を投げてきているのだ。
クレーンの数も多いため、それだけジャンクが投げられている。
これには慌てる下っ端。
ボス:「バカ野郎!こけおどしだ!艦に当たりそうな奴だけを狙えばいい!それより、船の上のMSに気を付けろ。もし油断して接近されてみろ!それこそ勝ち目がねえ!とにかく奴を船上に釘付けにしておくのだ!」
そう指示したものの、敵MSが見当たらない。
付近を警戒するが、見つからない。
が、突然敵MSが現われる。
どうやら、ジャンクに紛れていたらしく、ジャンクを斬って現われた。
ロウ:「どんピシャだぜ!・・・えっ!?」
ハチに表示されたのは「スピード出すぎ!」という文字。
こういう時は喋らないらしい。
スピードが出すぎたままだと、ミサイルの狙い撃ちになるのだ。
彼はすぐさま逆噴射を行う。
しかし、止まらない。
ロウ:「くっそぉ!これでどぉだあああああああ!!!!!!」
ビームサーベルで下に突き止めようとする。
それでも、まだ止まらない。
この時、ロウ自身は気づいていないが、海賊の艦では大変な事が起きていた。
隔壁が損傷だけでなく、空気が漏れているのである。
ロウ:「ふぅ。やっと、止まったぁ。やれやれさ〜〜〜て・・・これで俺の大活躍の時間が来たってわけだぜ。おいハチ!海賊船に通信を繋いでくれ!」
通信を繋ぐ前に海賊船の方から通信が入った。
ハチに文字が表示される。
ワレ・こうふく・スル。
降服宣言に驚くロウ。
自分はまだ何もしていない。
そう思っていた。
しかし、モニターから目の前の状況を理解する。
それは自分が止めるために使ったビームサーベルで、海賊船の上部が斬れているのだ。
ロウ:「これは・・・俺がやったのか!!」
事態の深刻さに気づくロウ。
それは海賊達も同じであった。
身をもってビームサーベルの恐ろしさを思い知ったのだ。
愚痴をこぼしていると、敵MSからの通信を確認する。
その内容は全くの予想外の内容だった。
下っ端:「え〜〜〜『艦の修理に必要なパーツがあれば特価で売る用意アリ』だそうです」
その内容を聞いたポーシャ達にため息が出る。
加えて、呆れてしまった。
自分達はそういう相手に挑んでしまったのだから。
そして、相手にしちゃいけないバカに関わってしまったと。
ロウ:「やっぱこのMS最高だぜ!」
その後、海賊達に修理に必要なパーツを売った。
これが普通の状況ならジャンク屋が無償で行ってもおかしくない。
しかし、相手は海賊。
おまけに修理した後に攻撃されている。
なので、無償で修理する必要は無いのである。
やがてジャンク屋の彼らも、またこの宙域から離れた。
*
アキト:「あれが、“煌めく凶星J”か・・・」
地球。
彼は異様な光景を目にしていた。
それは不殺で敵を戦闘不能にしている目の前の状況だ。
不殺で戦っている白いジンが地球軍側に居る。
あれはパイロットが、ジャン・キャリーであることを表していた。
ジャン・キャリー。
地球軍では名の知れた男だ。
コーディネーターでありながら、地球軍に所属している、いわば裏切り者のコーディネーターである。
ジンを白く塗装したのは、彼を監視するためだ。
何故なら、地球軍が戦っているのはコーディネーターだからである。
ジャン:「援軍か?すまないが、もう戦いは終わったぞ」
アキト:「いや、僕達は・・・」
レイコ:「私達は今度ここへ配属になった地球連合軍第71独立機動隊、通称レルサの者です」
地球連合軍第71独立機動隊、通称レルサ。
このレルサに深い意味はない。
隊長のレイコ・テライがそう名付けたのだから。
ジャンに合流後、アキトはターミナルを通じて暗号通信をある男に送った。
ターミナルを通じ、その男に暗号通信が送られる。
マサカズ:「・・・そうか。煌めく凶星Jと合流か・・・そのまま部隊に留まるように送っておくか・・・」
彼はターミナルに通信を送り返す。
もう少し、色々送りたいがそうも言っていられない。
今、自分はプラントの宙域に居る。
この周辺でも危ないのに、これ以上先での通信はより危険だからだ。
しばらく、進むとザフトの衛星から通信が入る。
ザフト兵:「貴官の所属は?」
マサカズ:「オーブ軍特殊01部隊所属マサカズ・ライモート大佐だ。用件はプラント評議会に通してある」
そう言うとすんなり通してくれた。
こういう時は、名が通っていて助かる。
と思いながら、港へ向かった。
何故、あのような事になったのかを今一度確かめるために。
END
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