進路を変更し、アルテミスへと向かうアークエンジェル。
サイ達はこの状況について話し合っていた。
その中、フレイがこのような発言をする。

フレイ:「この船にいる方が危険じゃないの!」

少なからず、この言葉はキラを悩ませた。
フレイが乗っていた救命ポッドを持ってきたのは自分なのだ。
これに対し、ミリアリアは「壊れた救命ポッドの方がましだった?」と聞き返す。
他に返す言葉のないフレイはそうではないと話す。

ムウ:「キラ・ヤマト!」

突然、キラを呼んだのはムウ。
何でも、マードック軍曹が怒っているらしい。
人手が足りないんだから、“自分の機体くらい自分で整備しろ”と。

キラ:「ちょっと、僕の機体って・・・どういうことですか!?」



「PHASE−6 サイレントラン Bパート」





どうして、また自分があれに乗らなければいけない?
しょうがないと思いつつ、2度目もあれに乗り、戦った。
だが、自分は軍人ではない。
そう言い張るキラ。
しかし、ムウは彼をMSに乗せるために現実をつきつけた。

ムウ:「いずれ、また戦闘になる。その時に君は、今度は乗らずにそう死んでいくか?」

はっきり言って脅しに近い。
自分が戦闘に出てこの艦を守らなければ、サイを始めとする友人達やこの艦に乗っている人達がみんな死ぬ。
艦を守れるのは自分とお前だけと話すムウ。
出来るだけの力を持っているから?
自分しか、あのMSを操縦できないから?
色々なことが頭によぎる。

キラ:「待ってください!あなた以外にマサカズがいるはずでは!?」

ムウ:「残念だが、あいつはヘリオポリス宙域へ向かった。人命救助のためにな。それに、あいつがヘリオポリスに居たのはラッキーなんだぜ?あんな大物に会える機会は滅多にないし、忙しい奴だからな」

言った後にムウは言葉を付け加えた。
彼は自分の考えで行動する以外では、報酬を受け取ることで仕事に就く。
いわば傭兵に近い人間だ。
今のアークエンジェルではそんな報酬を払える金額はない。
それにヘリオポリスを破壊したのは結果的に自分達のせいだ。
だから、彼を引き止める権利は自分達にはないと。
などと話すと、ムウは立ち去ろうとする。
そこへサイは質問した。

サイ:「あのこの船、どこへ向かってるんですか?」

正直にムウは、ユーラシアの軍事要塞と言った。
嘘をついても仕方がないのだから。
とはいえ、すんなり入れるとは思っていない。
自分の思いを話すと今度こそムウは立ち去る。
彼が立ち去ると、キラもその場から離れた。

フレイ:「何?どういうこと?あのキラって子・・・」

彼女の気持ちが分かるサイは説明する。
あのMSに乗っていたのはキラだと。
だが、それだけではフレイの疑問は解決しない。
フレイの疑問に答えを言ったのはカズイだった。

トール:「キラはコーディネーターだからね」

彼の発言を聞いたトールやミリアリア、サイの表情が変わる。
しかし、サイはフレイに話す。
キラはコーディネーターだ。
でも、ザフトじゃない。
そこへミリアリアが言葉を付け加える。
私達の仲間、大事な友達よと。
彼らがそんな事を話している頃、キラは格納庫へと来ていた。
そして、ストライクを目の前にして寂しげに呟く。

キラ:「MSが動かせるからって・・・戦争が出来るってわけじゃない」


アスラン:「アスラン・ザラ出頭いたしました!」

クルーゼ:「ああ、入りたまえ」

二人はクルーゼの部屋に居る。
アスランが呼ばれたのは、もちろん前回の命令違反の事だ。
彼が命令違反するような人間ではない。
そのことはクルーゼも知っている。
だからこそ、理由を聞きたいのだ。
手を握り締め、アスランは正直に話すことにした。

アスラン:「あの最後の機体・・・。あれに乗っているのは、キラ・ヤマト・・・。月の幼年学校で私と友人だった、私達と同じコーディネーターです・・・」

このとき、アスランは気づかなかった。
クルーゼの隠された表情に。
彼は表に出さなかったが、内心驚いていた。
まさか、ここでキラ・ヤマトの名が出るとは思っていなかったからだ。

アスラン:「あのような場で再会するとは思わず・・・、どうしても確かめたくて・・・」

クルーゼ:「そうか・・・。戦争とは皮肉なものだな。君の動揺もいたしかたあるまい。仲の良い友人だったのだろう?」

はい、と答えるアスラン。
そう聞くと、クルーゼは次の出撃を外すとアスランに言い放った。
さすがのアスランも思わず、びっくりする。

クルーゼ:「そんな相手に銃口は向けられまい。・・・私も君にそんな事はさせたくない。君のかつての友人でも、今、敵なら我らは撃たねばならん。それは解ってもらえると思うが」

アスラン:「キラは!・・・アイツはナチュラルにいいように使われているんです!アイツ、優秀だけどぼーっとしてお人好しだから、その事にも気づいていなくて・・・だから、私は説得したいんです!!アイツだってコーディネーターなんだ!こちらの言う事が解らないはずありません!」

説得したいと申し出るアスラン。
熱意がこもっている。
彼の言っている事は嘘ではないだろう。
だが、クルーゼはもしもの事態を考える。
もし聞き入れないときは?
少し時間が経って彼は答えた。

アスラン:「その時は・・・・・・・・・・・・私が撃ちます!」


一方でアークエンジェルは第一戦闘配備となっていた。
食堂に居たミリアリア達はある事を決意し、食堂とは別の場所へと向かう。
そして、キラはトール達と通路で出会う。
彼らは軍服を着ている。
艦の事を手伝いたいらしい。
それが彼らの出来る事。
軍服はザフトの方がいいと話すトールをチャンドラは怒る。
少し話をすると、彼らはブリッジへと向かっていく。
去り際にチャンドラはキラに言葉をかけた。

チャンドラ:「ああ、お前もまた出撃するんなら、今度はパイロットスーツを着ろよ」

彼らもまた戦っている。
ならば、自分も出来る事をやろう。
キラはパイロットスーツを着替えに向かった。

ムウ:「とにかく、艦と自分を守る事だけ考えろ」

スーツを着替え終わったキラとムウは格納庫に居た。
それぞれの機体に乗り、この艦を守るために。
ストライクへ向かう際、キラはアスランの事を考えていた。
この艦を沈めに来るかもしれないかつての親友の事を。

ムウ:「ムウ・ラ・フラガ、出る!戻ってくるまで沈むなよ!」

先に彼が出る。
作戦はムウが隠密に先行し前の敵を撃つ。
その間自分が後方の敵から艦を守る。
うまくいくのか心配だ。
そこへミリアリアの声がした。
これからは彼女がオペレーターをするらしい。
ふと、キラの顔にも笑顔がこぼれる。
ナタルはストライクの装備をエールストライカーパックと指示しつつ、キラにも指示していく。
ブリッジでは、メインエンジン噴射とローエングリンの発射を艦長が指示。
次にナタルが指示された事を行う。

クルーゼ:「先の言葉を信じるぞ、アスラン」

ヴェサリウスからはイージスが出撃していた。
MSの熱源を感知すると、ストライクも発進準備に出る。
コックピットの中で、キラは思い出していた。
ムウの言葉、トールやミリアリアの言葉を。
ついに発進準備が完了し、出撃する。

キラ:「キラ・ヤマト、ガンダム行きます!」

出ると同時に、ストライクが色づく。
キラは艦を守るために宇宙へと出たのだった。






END
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